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2007年9月

2007年9月27日 (木)

おせんべい作り 焼き編

おせんべい作り工程シリーズ(?)、焼き編です。 手焼きせんべいというと、東京下町や、本場埼玉草加などのせんべいどころに行かれると、店頭の実演販売などで一般の方も目にされることがあると思います。 おせんべいを焼く手段としては、その熱源に、古来の炭を使う方法、ガスを使う方法、熱した鉄板で夾み焼く方法など、いくつかあります。 炭焼きはとても高度な熟練が必要で、均一な製品を作ることと、量産がなかなか大変です。 焼き炭の持つ特性から、香ばしく、醤油味の堅焼きおせんべいに向いていますが、一般的には結構高価なものになります。
 大きいメーカーでは、ガスを使った焼き方を多く採用していて、この場合、長いコンベアのついた、トンネル状の釜におせんべい生地を通し、上下からのガス炎であぶり焼きし、均一な製品を大量に作ることができます。 一方、自動式でないガス釜もあり、こちらは、数十枚単位の生地を、焼き網に夾んでゆっくり焼いていきます。 風林堂では、先述の、鉄板焼きと煎り焼き用の小柄石釜を併用していて、生地の大きさと、仕上がりによって使い分けています。
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←これから焼く生地を、障子状の枠に並べたところ。

風林堂の鉄板焼き器は、先代、父の頃から使っている年期もので、原理はとても単純です。 厚さ1cmほどの分厚い鉄板の裏に、太いニクロム線が仕込んであり、ここに電気を通すことにより、2次的に鉄板を熱し、この鉄板からの放射熱と遠赤外線によって焼き上げます。同じ仕組みの鉄板が天地にあり、上下から挟み込むことで、表裏均質に仕上がるという仕組みです。 写真の生地は、直径およそ8cmのものですが、ご覧のように一度に30枚ほどが焼けます。(30枚しか焼けない?)

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←鉄板の上に並んだ生地。200℃以上の温度で焼かれます。「泳げたいやきくん」の世界ですね(笑)

  焼きの手法には、それぞれ仕上がりに差異があり、どれがベストかは一概には言えません。  風林堂の鉄板焼きは、焼きの温度管理がしやすいところに特徴があります。 熱源に電気を使っているからですが、このおかげで、比較的ぱりっと堅めのものと、ふんわりさくっとしたものとを焼き分けることができます。 そして何より、焼き面をほぼ平らに仕上げることができるので、「ぷりんたぶるせんべい」のような、表面への加工にとても向いているのも大きな特徴ですね。 

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←7~8分かけてゆっくり焼いた香ばし系のおせんべい。「ぷりんたぶるせんべい」になります。

 こうして焼き上がるおせんべいですが、堅めで香ばし系のおせんべいは、やはり醤油味によく合い、さっくり系のものは、サラダ油掛けの塩味などによく合います。

 近年は、焼き方による出来映えの他に、味付けや所謂トッピング類で様々なバリエーションのおせんべいが次々に登場し、市場には多種多様の製品がありますので、皆さんがそれぞれご自分のお好みをお持ちでしょうから、今度おせんべいをお求めになるときには、こんな豆知識を頭のすみに置いて食べ比べてみるのも楽しいかも知れませんね。

2007年9月19日 (水)

おせんべいにイラスト・文字をプリント「ぷりんたぶるせんべい」メジャーな素材編。

お望みの文字、メッセージやイラストを印刷、また名入れなどでオリジナルのおせんべいに仕上げる「ぷりんたぶるせんべい」。 過去にご注文いただき製作したもののなかで、風林堂のオフィシャルなサイトへの掲載が、諸般の理由からできなかったものを掲載させていただいています。

Pasumo_ayako左は、今年の春より稼働し始めた、非接触ICカードタイプの鉄道バス乗車カードのロゴ入りおせんべいです。 実物は、既にお使いの方も多いでしょう。 カードと同じ四角いおせんべいに、かわいいロゴがマッチして、なかなかの出来映えだと思います。 カード発行主体の関連団体様の、導入記念パーティーのおみやげとしてお作りいただきました。

右は、某有名美人演歌歌手の、似顔絵とサインが入ったおせんべいです。コンサート会場での販売企画に試作いただいたのですが、残念ながら大掛りな採用には至らなかったようなので、幻の一品となってしまいました。 いつか日の目をみてほしいなぁ。

Many こちらの印刷された顔が、どなたなのかわからず仕舞でしたが、注文くださった担当者の、ドメインを辿っていくと、もと福岡県出身のアイドル系グループ(既に解散)の、メインヴォーカルで、現在もソロシンガーとして活躍中のF井さんの所属事務所でした。 そのF井さんは、弟さんもミュージシャンです。 

うーん、F井さんに似ているのだろうか? 

疑問は解けぬまま・・・。  次回にもご期待ください。

ぷりんたぶるせんべい」の詳細はこちらより。  

2007年9月16日 (日)

お待ちかね、町田相模原Walker発売。

Top

 

8月上旬、風林堂に取材にこられたムック誌、「町田相模原Walker」が、昨日発売になりました。 早速購入して、「ワシは、どのように載っておるのだろうか?」と、探して見たところ、一番最後の「スポット便利帳」という、町田・相模原の公園や文化施設を紹介するコーナーのなかの、コラム的なところで発見。
 町田の民話を紹介していらっしゃる、役所の職員の方と交互に、相模民話を紹介する案内人として私は登場していました。 とっても小さい記事なので、よーく見ないと、気づかないかもですね(笑)

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8月取材時に撮影していかれた「相模原草紙」は、残念なが ら、今回は掲載されませんでした。 またの機会に期待です。

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相模原の民話として、「いらぼっち」「照手姫」「みつめ入道」「おきぬさま」「むじなの変化」の5点が、とりあげられ、私の小さな顔写真と共に紹介されています。 

機会があればお手にとってご覧ください。

いつか、風林堂と商品が、どーんと大きい記事で取り上げられるよう、頑張ります レ(゜゜レ)

2007年9月13日 (木)

消えゆく写真屋さんその2

P1000016 その日は、前日までに受け付けたDPEを受け取りにこられるお客様がちらほら見受けられましたが、店に顔を出す大半は常連客で、口々に閉店を惜しむ声と、長年の営業期間へのねぎらいの言葉を、ご主人にかけていらっしゃいました。
中には、きれいな花束を持参された女性客もいらっしゃり、普段は額に入った写真以外にはあまり飾り気のない店内も、ぐっと華やいだ雰囲気になりました。

↑西日を浴びて記念写真。中央が店主井上さん。

日も落ちかかった頃、三々五々集まってきた常連客のなかに、本日の仕切り役の方がいて、閉店後に「ご苦労さんパーティー」の段取りを骨折っていただいたようです。 店内の什器を片付け、出前の料理などを並べると、ちょっとした宴会場に早変わり。 十数人の参加者は、それぞれ気心の知れた同士で、昔話や、写真談義などに花を咲かせているようでした。P1000021

右より石山氏、私、石崎氏、塩屋夫人、清水君→

私にとっては、右の写真の石崎、石山両氏には、学生の頃とても懇意にさせていただき、且つお世話になっていたので、十数年ぶりにお目にかかれ、楽しいひとときでした。(お二人は当時、会社の上司部下の関係だったそうです。)

異色だったのは、右の写真の女性、塩屋夫人。私は初にお目にかかったのですが、 最近話題の、実話に基づいた映画「0からの風」でメガホンをとられた、映画監督で俳優の塩屋俊氏の奥様です。 この日も、「0からの~」制作の裏話などをご披露くださり、興味深く拝聴しました。

宴の最後には、小さなくす玉まで用意され、井上ご夫妻が割り、ご主人のごあいさつで幕を閉じました。 


写真の媒体は、撮影・プリント共にフィルムからデジタルにだんだん移行していて、その流れは戻らないでしょうから、所謂「まちの写真屋さん」という営業形態は減少の一方だと思われます。 技術革新のおかげで、すそ野が広がってはくる反面、旧来型の資産が失われていく現象は、あちこちで見られます。 歴史の節々で繰り返されてきたことではあると思いますが、「イノウエフォート」の閉店に立ち会い、そのヒトコマを垣間見た思いがします。



 

2007年9月 9日 (日)

消えゆく写真屋さん。

P1000005 もう20年以上前のことですが、学生時代川崎市多摩区のアパートで、一人暮らしをしていた頃、趣味で始めたばかりの写真の現像を、アパートの近所にオープンしたDPEのお店にお願いしていました。 「イノウエフォート」というその写真店は、気のいいご主人が一人で切り盛りする、ちいさなお店でしたが、いつしか私はその店に入り浸るようになり、定休日以外はほとんど毎日、おじゃましていました。 今考えると、店の営業にはとっても迷惑だったかなと反省していますが、ご主人の井上さんは、いやな顔一つせず、いつも歓迎してくれたばかりか、貧乏学生だった私のプリント代をツケにしてくれたり、食事をおごってくれたりと、いろいろお世話になりました。
 写真好きのお客が集まるお店なので、趣味を同じくする、自分よりずっと先輩のお客の皆さんと親しくさせていただいたり、ご主人の友人のプロカメラマンとも顔見知りになり、スタジオで撮影助手としてアルバイトさせてもらったりと、それは貴重な時間を過ごし、且つ得難い経験もさせていただいたものでした。 
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当時あった店の前の工場は、いつしか高層マンションに→

 今年の4月頃、ずいぶんご無沙汰していたご主人より電話をもらい、お店を閉じることになったと、知らせていただきました。
卒業後も、機会を見つけては時々おじゃましてはいましたが、何といっても、様々な出会いがあり、色々な経験をし、濃密な時間を過ごした、学生時代の4年間の思い出が沢山詰まったお店がなくなってしまう寂しさで、閉店日の5月20日には、とりあえずおじゃましてみることにしました。

 数年ぶりに訪れた多摩区中野島、周りの景色は全く別の街に来たように変わってしまい、20数年前の田舎町が、ニュータウンの様相になっていましたが、「イノウエフォート」は当時のまま南武線の線路脇で、電車が通ると少し揺れ、年はとったけれど、相変わらず元気な笑顔のご主人が迎えてくれました。  私がおじゃました時間には、懐かしい旧い顔見知りの方々が既に集まっていて、昔よく座っていた同じ場所に腰を下ろすと、20数年前がよみがえって来るようでした。

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←駅横の踏切から、立川方面の景色。スギナの群生がローカル色を醸す。左には梨園。

今思い返してみると、はじめは別のお店に通っていた私は、ある日から「イノウエフォート」に鞍替えしたのです。理由はというと、DPEでは、必ず受付袋に名前を書いてもらいますが、以前通っていた店は、数回大量の現像依頼をしても、その度に名前を聞かれ、やる気のない店だなとがっかりしていたところに、後から開店した井上さんは2度目で覚えてくれましたので、この店は接客の基本がわかっているなと、当時の幼稚な頭で考え、お付き合いさせていただくようになったのですが、まさか、閉店まで、立ち会うことになるとは、夢にも思っていませんでした。

To be continued


2007年9月 6日 (木)

おせんべい作り 仕込み編

 強い台風9号が、静岡県~関東地方に接近する模様で、だんだん風雨が強まってきています。 恵みの水をもたらしてくれる台風ですが、雨風があまりに強いと、災害が心配され、農村部では、農作物への悪影響が、都市では、社会機能への厳しい結果に繋がりかねませんので、お手柔らかにお願いしたいものです。 既に交通機関には、色々影響も出ているようですので、明朝の通勤通学の足も心配されます。 私の息子の通う私立の中学校は、早々、明日午前中の授業を行わないことにしたようですが、電車通学の生徒のほうが多いので、そうせざるを得ないのでしょう。 台風退散 渇!! 


 今日は、風林堂の定休日でしたが、製造業でもあるおせんべいやは、製造の当日以前にも、準備が必要となりますので、休日の最後には、明日の仕事の仕込が待っています。 主なものは、おせんべい生地を焼ける状態にする作業ですが、つける醤油たれを補充するための仕込などもあります。 1

  今日は、生地の仕込みについて触れてみようと思います。生地作りの業者さんから送られてくるおせんべい生地は、そのままではおいしくは焼けません。焼く前に、そこそこの温度で加熱し、含まれている水分を取り除き、仕上がりの状態に合わせた按配にしてやる必要があります。 これを2次乾燥、「ほいろをとる」といいます。 

金網の筒に入った生地。これから7~80℃で乾燥されます。↑

和菓子の工程でも、作るお菓子の種類によっては、オーブンの余熱を使ったり、専用の「むろ」といわれる道具などで、同じような作業をすると聞いたことがあります。おせんべいの場合には、主に熱源にガスを使った、「回転式ほいろ」という機械をつかい、この作業を行います。

2←回転ほいろ。衛星ほいろとも・・

上の写真のような、金網製の筒に、おせんべいの生地を入れ、数十分から数時間の間、ゆっくり時間をかけて暖めてゆきます。 この時間と温度の調整が、焼き上がりに大きく影響してきますので、神経を使うところです。 生地の仕上がり具合、厚さや大きさ、保存状態、時期なりの湿度や気温等等、影響を受ける要素はたくさんあります。  熟練とまではいいませんが、それなりの経験がものを言う作業なので、頭の中のHDDが錆付くと、困ったことになるかもしれませんね。 こうした下準備を終えて、初めて焼きの作業にかかれるわけです。 またの機会には、次の工程のお話を。 

2007年9月 2日 (日)

新型機械導入顛末

P1000093 おせんべいは、1枚ずつ個包装されているのを、よくご覧になると思いますが、湿気をきらう商品ですので、開封後も安心して召し上がれるように、あるいは、複数名で分けて召し上がるにも、こうしたほうが便利ですよね。 風林堂でも、自動で包装する機械を、かなり以前から使っていますが、さすがに老朽化して、いろいろ不具合が出てきたので、このたび新型を導入することになりました。
←20年以上使ってきた旧自動包装機。

P1000097  春先に、食品関係機械の展示会で商談をまとめ、導入したのが、日本ポリスターという専門メーカーの、小型自動包装機です。
別メーカーで導入した旧型よりかなり小さく、もちろん高性能化されていて、これからの仕事が省力化されることが期待されます。
←店頭に着いた機械をクレーンで降ろします。


P1000129_3  風林堂の建物は細長く、正面に店舗があり、その後ろ側、建物全体の8割くらいを工場が占めています。 その工場に、機械を搬入するのですが、小さくなったとはいえ、幅1.5m長さ5mあまりの金属の塊を入れるにはちよっとした技を使わねばなりません。
風林堂の工場には、専用搬入口がないのです。

←店舗内、普段の景色。


P1000096 上の写真と比べていただくと一目瞭然なのですが、風林堂の店舗には、秘密の隠し扉があったのでした。 普段は、写真額の裏側に隠れていますが、いざというとき(この日がそうだったのです)には、間口1軒以上の開口部が現れ、かなりの大きさのモノが出し入れできるのでした。 ( ̄^ ̄)えっへん

←奥に工場設備がちらっと見えます。


P1000115 搬入から据付、旧型の搬出まで、およそ2時間。
その後、使い方のレクチャーを、担当の営業マンから受けて、やっと終わったのが、午後4時過ぎ。
こんなわけで、店舗からの搬入作業を行うということは、必然的にお店の休みの日に行わざるをえないので、私の休日は、今週はキャンセルということになってしまいました。(涙)

←無事収まった新型包装機。賞味期限日付印字も自動でできます。

 これからだんだん涼しくなり、少しずつ生産量も増えてきます。そしてピークの年末年始など忙しい時期に威力を発揮して、深夜残業から少しでも解放されることが期待できれば、ありがたいです。

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