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2007年9月 9日 (日)

消えゆく写真屋さん。

P1000005 もう20年以上前のことですが、学生時代川崎市多摩区のアパートで、一人暮らしをしていた頃、趣味で始めたばかりの写真の現像を、アパートの近所にオープンしたDPEのお店にお願いしていました。 「イノウエフォート」というその写真店は、気のいいご主人が一人で切り盛りする、ちいさなお店でしたが、いつしか私はその店に入り浸るようになり、定休日以外はほとんど毎日、おじゃましていました。 今考えると、店の営業にはとっても迷惑だったかなと反省していますが、ご主人の井上さんは、いやな顔一つせず、いつも歓迎してくれたばかりか、貧乏学生だった私のプリント代をツケにしてくれたり、食事をおごってくれたりと、いろいろお世話になりました。
 写真好きのお客が集まるお店なので、趣味を同じくする、自分よりずっと先輩のお客の皆さんと親しくさせていただいたり、ご主人の友人のプロカメラマンとも顔見知りになり、スタジオで撮影助手としてアルバイトさせてもらったりと、それは貴重な時間を過ごし、且つ得難い経験もさせていただいたものでした。 
P1000008
当時あった店の前の工場は、いつしか高層マンションに→

 今年の4月頃、ずいぶんご無沙汰していたご主人より電話をもらい、お店を閉じることになったと、知らせていただきました。
卒業後も、機会を見つけては時々おじゃましてはいましたが、何といっても、様々な出会いがあり、色々な経験をし、濃密な時間を過ごした、学生時代の4年間の思い出が沢山詰まったお店がなくなってしまう寂しさで、閉店日の5月20日には、とりあえずおじゃましてみることにしました。

 数年ぶりに訪れた多摩区中野島、周りの景色は全く別の街に来たように変わってしまい、20数年前の田舎町が、ニュータウンの様相になっていましたが、「イノウエフォート」は当時のまま南武線の線路脇で、電車が通ると少し揺れ、年はとったけれど、相変わらず元気な笑顔のご主人が迎えてくれました。  私がおじゃました時間には、懐かしい旧い顔見知りの方々が既に集まっていて、昔よく座っていた同じ場所に腰を下ろすと、20数年前がよみがえって来るようでした。

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←駅横の踏切から、立川方面の景色。スギナの群生がローカル色を醸す。左には梨園。

今思い返してみると、はじめは別のお店に通っていた私は、ある日から「イノウエフォート」に鞍替えしたのです。理由はというと、DPEでは、必ず受付袋に名前を書いてもらいますが、以前通っていた店は、数回大量の現像依頼をしても、その度に名前を聞かれ、やる気のない店だなとがっかりしていたところに、後から開店した井上さんは2度目で覚えてくれましたので、この店は接客の基本がわかっているなと、当時の幼稚な頭で考え、お付き合いさせていただくようになったのですが、まさか、閉店まで、立ち会うことになるとは、夢にも思っていませんでした。

To be continued


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