食中毒
先週、東京都下の学校給食で、集団食中毒が発生したとの報道がありました。患者さんたちの症状は、比較的軽かったようですが、人数が数百人規模という大きさで、驚きを持って受け止められたと思います。食品を大規模に扱う業者が感染源になると、広範囲に影響が出るという典型でしたね。原因は、冬場に猛威を奮う、ノロウィルスだったそうです。
その後の調べで、原因が、給食の親子丼にかかっていた、きざみ海苔に付いていたウィルスだったことが解り、大変驚きました。感染源とされた海苔業者さんも、ニュース番組のインタビューで語っていましたが、加熱処理された乾燥食品である焼き海苔にウィルスが付着し、最終消費者の口にはいるまで生きているとは、考えが及びません。通常、病原菌が生育する条件としては、1)栄養2)水分3)温度が必要とされ、これらの条件が揃わないような保存、流通を心がけることで、被害を防ぎましょうというのが、常識になっているからです。
食品製造業者の一員である、私たちおせんべい屋も、多くの海苔を扱います。しかし、80℃~90℃で乾燥し、水分量数パーセント以下の乾燥状態を保持する食品ですので、これが食中毒の原因になりうるとは、考えたこともありませんでした。事実、創業以来、一度も中毒を発生させたことはありません。多くのおせんべい屋が同じと思います。
ウィルスと病原菌の違いを、今回あらためて痛感しました。通常、80℃で15分加熱することで、病原菌を死滅させることができると指導されています。ですので、食品(弊社の場合おせんべい)を加熱乾燥させ、食中毒源が無力化された状態で包装処理すれば、病原菌の場合無リスクとなります。しかし、ことノロウィルスとなると、その後僅かでも付着してしまうと、包装された状態でウィルスが生き続け、感染のリスクがあるという訳です。
これを防ぐには、製造現場からウィルスを徹底排除するしかありません。乾燥状態で生き続け、僅かな飛沫にも、大量に存在するというやっかいな相手に、どう対処していくべきか、あらためて考えて見たいと思います。
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