読書 Feed

2019年1月24日 (木)

読書&憂鬱

今年最初に手にした本です。私は、来年還暦を迎えますので、気になるのはやはり老後の生活設計。こればかりは、事前の心構えと準備が必要なので、必然的にいろいろ知識を吸収せねばと言う気持ちになります。
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たまたま、新聞の広告で見つけ、ネット書店から取り寄せて読んでみることにしました。主に、老後の生活をお金の面に着目し、余裕を持った生活を送るための解説本という位置づけです。結論から申しますと、およそ既に知っている内容が多く、為になる部分は少なかったです。大枠は、貴重な老後資金を、高リスクな運用や保険などに使わず、税制や公的制度、社会保障の仕組みなどを熟知し、堅実に備えましょうというものです。要するに普通のことです。ただ、気になったのは、その制度が、未来永劫維持されるという保証がないことに触れているのが、後書きのみだということです。 まあ、現況を踏まえ、どう対処すべきか書いた本なので、そのあたりは、別の書物に譲るべきテーマなのかも知れませんけど。

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グラフのとおり、私が後期高齢者になる2035年は、人口の3人に1人が65歳以上、労働力人口は、現在よりマイナス15%。いったい誰が、今の社会保障を支えるのかと考えると、公的な制度に頼り切るのは、若干危なそうです。

公的保障を考えるとき、政権与党は、ついこの間まで、100年安心とか言っていたような気がしますが、どうなったのでしょうね。最近は最低70歳まで働けと言っているように見受けられますが、仕事を続けたい人、リタイアしたい人、いろいろでしょうから、選択可能な社会が望ましいと思います。社会保障の先行き不安を考えるとき、高齢化社会の到来は、ずっと前から解っていたはずなので、政治と行政担当者の責任は重いと思います。こういった状況を鑑みれば、人口減少社会に於いて、年金、介護、医療サービスの質が、将来、今より上がるとは思えませんので、自助が求められる時代になるのは、間違いないでしょう。

自分で事業を営んでいる者とすれば、雇い主に定年退職を迫られることはありませんから、自分が望みさえすれば、仕事はずっと続けられます、つまり、老後はなくなるわけです。ただ、小規模事業主は、大方、自由になる時間が少ないのが公約数と思いますので、ある程度歳を重ねた後に、自分の時間と仕事をうまく両立できるかという観点も問題です。さて。

2018年10月13日 (土)

読了「ザ・ワーク・オブ・ネーションズ」

愛読している作家、橘玲氏の書物の中で頻繁に引用される書籍のオリジナルを読んでみました。著者は、米国の経済学者で、ビル・クリントン政権の労働長官を務めた、ロバート・B・ライシュ 発刊されたのは1991年なので随分昔ですが、その内容は現在の格差社会到来を予言する、先見性に充ちた内容です。

P1010081●8ポイント 450ページ超の重量級でした。

アメリカの経済史から始まり、1990年当時の状況解説と、その後訪れる21世紀の労働、雇用環境を予想し、対処の処方箋までに言及しています。

概略は、21世紀のアメリカ人は、スペシャリスト(知識労働)とマックジョブ(マクドナルトのように、マニュアル化された単純労働)に二極化される。本の中では、●ルーチンワーカー ●インパーソン(対人)サービス ●シンボリックアナリスト の3パターンに分けています。

第二次大戦後の成長期においては、日米どちらでも、工場で熟練を積んだ労働者が真面目に勤務すると、マイホームを買って、複数人の子どもに高等教育を受けさせることができた。しかし、20世紀の後半に始まるグローバリゼーションによって、人、モノ、金が自由に行き来するようになると、単純労働の製造業は人件費の安い新興国に移動してしまう。アメリカ国内から仕事の現場を移せない(国際取引できない)、対人サービスの仕事については、低賃金で働く移民に取って代わられる。この内外「ふたつの国際化」によって、先進国労働者は、仕事を失うことになるというものです。一方、知的労働を担う人々の報酬は、青天井となり、経済格差が固定されていくだろうという予見です。今の状況を、見事に言い当てていると思います。

であるなら、打開策として、単純労働で収入を得ていた階層の人々は、自己投資をしてクリエイティブクラスを目指すべきと言う処方箋を提示しています。そのためには、政府は教育予算を惜しまず、多くの国民が、知識社会に対応できるよう対処すべきとしています。

この頃には、この対処法と政策は有効と思われ、いずれアメリカは高度に知識化を遂げた国民のちからで、世界をリードする知識大国になるはずでした。確かに、数々のイノベーションを生んで、テクノロジーの最先端を行く国になっていますが、皮肉なことに、それを担っているかなりの部分は、自分の能力を生かすため、世界中から仕事を求めて集まった人々が占めているのです。そして、トランプ大統領誕生からも判るように、相変わらず仕事を奪われた、かつての中間層が今でも存在し、知識社会に対応できていないという現実があります。「我々に仕事をよこせ」と叫ぶ支持者のため、大統領は保護主義政策を進めています。

有効と思われた処方箋が機能しなかったのには、エビデンスに裏付けられた理由があるのですが、それは別の書物に譲ることにします。

著者のライシュは一昨年、これからの資本主義構築に向けての提言となる内容の本を出していますので、いずれそちらも読んでみたいと思います。


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