2025年2月 5日 (水)

休日の映画 小劇場にて

連休の後半は映画館に。最近よく行く隣町の単館系シアター。小さいながら、スクリーンが3つあり、毎日沢山の作品がかかるので続け見もでき、気に入ってます。作品公開時期が、東京などより少し遅れたスケジュールなので、メディアでの紹介やレビューを見た後に興味持っても、ゆっくり鑑賞できるのでありがたいのです。頑張って生き残ってね。

この日続け見した2本目、ブータンの作品が面白かったので簡単なレビューを。少し前に同じパオ・チョニン・ドルジ監督が撮った処女作を見て気に入っていましたので、タイミング良く次作を見ることができて良かったです。
 
長くチベットの影響下にあったブータン。20世紀の初め、現王朝の下で王国となり現体制となりましたが、大きく変化したのが1972年に16歳の若さで即位した第4代国王の下での政策。GNH(Gross National Happiness・国民総幸福量)という、今や世界中で有名となった哲学を提唱し、独自の道を進んでいます。そんなブータンで、国王が行政権を手放し、民主制に移行する選挙を行い、国民のリーダーを選ぶことになった。さあどうする?というのが物語の下敷きです。
 
選挙の告知をするラジオ放送を、仏教の高僧が聞き、弟子に、鉄砲を2丁調達するようにという命令を出します。平和な国のお坊様が何故鉄砲を・・と言う疑問が解けないまま、いろいろなエピソートが起ります。敬愛される国王の下、GNHに沿って穏やかに幸せに暮らしてきた多くの国民。近年解禁されたテレビ放送とインターネットによって、価値観を多様化させている人びと。仏陀の教えに忠実に生きる仏門の人びと。西洋型マネー至上な人びと。そんなひとたちによって、鉄砲と選挙をめぐり、可笑しくも暖かく、そしてとても示唆に富むストーリーが展開されます。
 
「選挙とは、みんなが幸せになれるよう、リーダーを選ぶこと・・」という説明に。「私たちは国王陛下の下、いままでも幸せだった。なぜそんなことをするのか?」 う~む、胸に手を当ててしまいますね。そして、思い切り腑に落ちるストーリーの組み立てと、答えを用意してくれるラストは見事だと思いました。
 
前作「山の教室」は、ひたすら純真無垢を中心に据えてシンプルに描かれましたが、今回は変りゆくところと、そうでないところが絡み合い、ひねりの入ったストーリー。そしてやはり、日本人にはとても郷愁を誘われる、美しい自然風景と農耕地。ブータンの魅力120%味わえて大満足。エンドロールの終了に拍手差し上げたら、客席あちこちから追随する人も。みんな優しい気持ちになれたのだな~と確信しました。オススメです。
 
お坊さまと鉄砲 The Monk and the Gun 2023年ブータン・フランス・アメリカ・台湾合作

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2025年2月 3日 (月)

休日の小旅行2

前回の続き。富士山をお供に西伊豆の海岸を走ってきました。

Photo_5 戸田から北上する途中にある展望台から見下ろした海。逆光に光った水面と、漁船の影が面白い絵でした。

2ダイビングスポットとしても有名な、大瀬崎海岸。戸田と同じように、せり出した岬があり、外側からは富士山が近くに見えます。この頃は、季節風が随分強まって、立っているとよろけるほどでしたが、海が良い具合に波立ったので、写真としては面白くなりました。

Photo_7 大瀬崎を後に、岐路の途中。道路際の展望台から見える風景。手前の愛鷹山に重なる場所ですね。海の中にせり出しているのが大瀬崎。海+富士山もここでお別れでした。

半日のドライブでしたが、冬化粧をした富士山が堪能できました。また、ゆっくり訪れたいです。


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2025年2月 2日 (日)

休日の小旅行

お正月に営業する風林堂は、繁忙期を過ぎてからお休みを頂戴しています。今年の1月は、最終週に5日間休暇をいただき、小旅行に行ってきました。目的地は西伊豆。冬装備をしていないクルマでも雪の心配が無く、この時期でも比較的暖かいところです。今回は、堂ヶ島の旅館に一泊し、海沿いを走って、富士山を眺める旅になりました。

初日はあいにくのお天気で、西伊豆自慢の駿河湾に沈む夕日の絶景は見られませんでしたが、翌日は徐々に回復し、昼前くらいから、海越しの富士山が見えるようになりました。

Photo戸田漁港にせり出した岬の先、松原越しに見た富士山。山梨の湖からも綺麗ですが、清水育ちの私は、やはり海+松がしっくりきます。

Photo_2岬に囲まれた静かな湾、戸田漁港。午前中の日が射して海も光っていました。

Photo_3 同じ戸田漁港を、昨年末に購入した超広角レンズで撮ってみました。

Photo_4 道路沿いにある展望台から見た砂浜と富士。この上の2枚を撮ったのは、茶色に見える砂浜あたりです。

続きは次回に。


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2025年1月13日 (月)

米価格高止まりの理由

 昨年末の私的な回想で、24年産新米が出回った後にも、米価格が高止まりしている状況について書きました。新年になってから、一部スーパーやドラッグストアで、セール品として若干価格を抑えた設定の銘柄も見かけるようになりましたが、まだ23年夏以前と比べると、2倍からそれ以上の価格で販売されているようです。加工用米も、主食用ほどではないですが、高止まりしています。朝、せんべいを焼きながら毎日聴いている民放ラジオ局のニュース番組の特集で、これをテーマに語られていましたので、まとめてみました。

1)2023年の猛暑や少雨が影響し、米の生産量が減少した。このため、2024年の新米が出回り始めても、供給が需要に追いつかない状況が続いている。特に、新潟や秋田などの米どころでは収穫量が減少し、これが価格上昇の一因。

2)生産コストの上昇も大きな要因。肥料や燃料費が高騰し、これが新米の価格に転嫁されています。農林水産省によると、2024年の新米価格は前年に比べて1.5倍に達しているとされている。

3)流通業者間の競争も影響している。米不足の影響で、業者が農家から直接仕入れるケースが増え、市場での流通量が減少している。流通業者間の取り合いとなり、JAの統制が効かなくなっている。このため、店頭価格が高止まりしている状況が続いている。

4)コロナ禍からの需要回復も影響している。インバウンド需要が増え、加えて消費者の外食機会が増えていることで、外食業者の買入れ量がが急増している一方で、生産が追いついていないため、価格が高止まりしている。

5)南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を受けた買い込み。

6)流通業者が、多くの利益を得るため、流通量を控えめにし、高値で販売しようとする意図もあると見られる。

番組論者は、主食価格の高止まりは、消費に悪影響を及ぼすとして、政府備蓄米の放出等、価格抑制に乗り出すべきとの見解を示しましたが、現時点で、その動きはないとの見通しのようです。

生成AIに尋ねたところ、5)6)以外の回答は番組解説者と、ほぼ同じような回答が得られました。そのときのマインドマップです。Photo

一方で、今回の所謂「令和の米騒動」の根本的な原因は「減反(生産調整)」だ。とする解説もあります。

減反とは農家に補助金を与えてコメの供給を減らして米価を上げるものだ。2023年産米は作況指数101で平年作を上回っていた。品質低下なら価格は下がるはずだ。また毎月300万人の旅行者が日本に7日間滞在して日本人並みに食べたとしても、消費量は0.5%増に過ぎない。数年前から農業団体は農家にもっと生産を減らすように指導してきた。農林水産省としては目的通り米価を上昇させて満足していることだろう。今は水田の4割を減反して生産量を700万トン以下に抑えている。しかも余裕のない需給操作なので、今回のようにささいなことで価格は変動するというのが実態だろう。キャノングローバル研究所 研究主幹 山下一仁氏

日経新聞の記事によると、24年7月〜25年6月の需要見通しの674万だそうなので、確かに700万トンの生産では、需給がぎりぎりの均衡です。何か予期せぬ事態が起きれば、パニックによる不足感が出ることは、容易に想像されます。備蓄米とは、その時のためにあるはずなのに。


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国内の米需要推移(日本経済新聞資料より)

およそこんな論点のようです。アダム・スミスの経済思想「見えざる手」によって唱えられた自由な市場の重要性ですが、今回は失敗例に該当するかも知れません。あるいは、政府や農協の影響力で、リーズナブルだったかつての米価格は幻想で、今の価格が適正なのでしょうか? 25年度産新米収量が順調な見通しになれば、どこかで眠っている在庫米が流通し、価格が下がるかも知れません。あるいは、現時点の状況を鑑み、政府の農政が修正されるかも知れません。米製品の製造業者として、一消費者として、注視していきたいと思います。


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2025年1月10日 (金)

お世話になりました

 本年4月末で、直売店の営業を終了することに決めてから、近隣各所にお知らせを始めています。相模原市で店舗販売を始めてから、ずっとお世話になってきた「商工会議所」はその筆頭。私が、小田急相模原駅前の商店街に、30歳代前半に店舗を開いてから、いろいろサポートしてもらいました。開業当時は、経営や商店街活動のアドバイスを主に、今の場所に工場店舗と本社機能を移転してからは、会議所主催の各種経営セミナーへの参加。個別には経営コンサルタントの派遣サポート。最も大きな事業としては、上部組織の日商が行ってきた補助金事業では、三回に渡って採択されることができ、ホームページ製作や新商品開発。商品パンフレット製作等、小規模企業の自己資金では、なかなかハードルの高い事業に取り組むことが出来ました。コロナ禍にあっての、給付金や助成金申請の手伝いも受けました。開店当時に担当してくれ、懇意にしてきた所員の皆さんの多くは定年退職され、たまに事務局を訪問しても、知った顔は既にいなくなりましたが、閉店前には一度挨拶に出向こうと思っています。年度末3月までは、会員資格を有するとのことで、まだ会報が送られてきますが、もうじき終わりと思うと、一抹の寂しさがあります。

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2025年1月 1日 (水)

Gasi


2024年12月31日 (火)

2024年を振り返って

毎年の大晦日、一年を振り返えることにしています。風林堂と私の2024年はどんなだったのでしょう。

2024 今年最後の日の出

今年は、新年早々に大地震のニュースが飛び込んできました。極寒の中、被災された地域の映像を目にして、こころを痛めたことを思い出します。半年あまり後に同じ地域で、豪雨災害が追い打ちをかけ、残酷な仕打ちが続くことの理不尽さに、また悲しみを新たしたものです。大災害が起きる毎に、少しでも支援できることをと考え、義援のせんべいを作って、売上金を寄付してきましたが、今回も少しだけ協力しました。支援を惜しむ気持ちはありませんが、できるならこのようなことは、起きないでほしいと願うばかりです。

3 能登義援せんべい

風林堂に起きた大きな出来事が2つありました、父の代から原材料を一貫仕入れしてきた、原材料生地工場が、5月の末に突然破綻廃業し、主原料の供給が止まってしまいました。当然、商品の製造ができなくなり途方に暮れるとともに、一時は廃業も考えました。生地から製品まで一貫生産しているメーカーもありますが、それらのほとんどは大手で、小規模なせんべい屋の多くは、業者から生地を購入して、焼きと味付けのみをおこない製品化していますので、同じ業者から生地購入していた同業者は、同じ立場におかれて困ったと思います。いろいろ手を尽くして、代わりに供給してくれる生地屋さんを捜し当て、どうにか継続することができましたが、一部、製造を取りやめざるを得ない製品も出てきました。ファンのお客様や、取引先にはご迷惑おかけし、申し訳ないと思っています。新たに生地を供給してくださった3社の経営者は、幸いにどちらも良い人ばかりで、こちらの事情を察してくださり、快く取引きくださいましたので、ありがたいと感謝しているところです。

続いて、7月末ころに起きたのは、ギフト箱の製造を一括依頼していた、製箱業者の突然の廃業です。こちらは、家内工業の極小規模業者で、私より少し年上の経営者が、ほぼひとりで切り盛りしていました。昨年の後半くらいから、箱を製造する機械が、老朽化によって不具合を起こし、何度か供給不能に陥っていましたが、今年の旧盆前に、完全に修理不能となったそうで、廃業を伝えてきました。こちらも、一社委託していたので、代替業者を手配するように依頼しましたが、残念ながらその後何の音沙汰も無く、困り果てました。旧盆の繁忙期に、ラインナップほぼ半分のギフト商品が欠品する事態になり、頭を抱えたことを思い出します。幸い、その少し前に営業に来ていた都内の業者に手配をお願いすることができたので、9月頃には通常に戻すことができましたが、ギフト箱の単価は大幅に上がり、商品価格の見直しを余儀なくされました。

そして、日本中が直面し、今も続いている米の価格高騰問題です。先に書いた生地業者破綻の原因にもなっていますが、昨夏の猛暑で、米の収量が下がり、原材料加工用米が不足高騰していました。今年の春先には、今年度新米収穫時期までに、供給が途絶えるかもしないとの見通しもあり、不安な状況が続いていました。代替生地業者を探しているときにも、原材料米の供給不安から、当初、新たな取引きは難しいとの回答もあり、購入価格はそれまでよりかなり高く提示されていました。米の価格は、昨年秋頃から高止まりし、食用米では、それまでの倍近くでの購入を余儀なくされていますし、加工米に於いても、5割程の高止まりをしています。国際情勢から、生産現場での燃料価格、肥料価格等の上昇が、生産コスト押し上げ圧力になっているのは確かなので、仕方の無い部分もありますが、JAが公表している買い取り価格は、昨年比で2割~3割の上昇だそうですので、小売価格が倍近くになっているということは、流通コストを価格転嫁し過ぎているのではないかと勘ぐっていまいます。農家の皆さんが適正な利潤を得ることは大賛成ですが、流通業者が時勢に乗って過剰利益を得るというのは、所謂ピンハネなのではないかと思ってしまいます。この辺は、公表されている資料から読み解くことは難しいので、いずれはっきりすることを期待したいです。一方にこんな事例も。風林堂のせんべいを納めているアンテナショップに、地元の農家が米を納入しています。今年度の新米が収穫されたころ、5kg3000円(税込み)で販売していたのが、1ヵ月後に3500円に値上がりしていました。一年に一度収穫する米の直売価格が、時間経過と共に上がるというのは、どう考えても、納入者が市場動向を見ながら価格決めをしているように見え、過剰利潤を乗せているように感じられます。米の問題には、長く国の農政が影響を及ぼしてきましたので、現場の皆さんのお気持ちも理解はできますが、消費者の更なる米離れにつ繋がっては元も子もありません。現状打開を強く望みたいと思います。

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年末12月の20日過ぎに、悲しい知らせが届きました。SNS Facebookを通じて知り合い、10年以上懇意にしてもらった大切な友人が、58歳という若さで急逝されました。Fb上の友だちも多く、皆一様に深い悲しみを表明されています。これからも、長くのご厚誼を望んでいたところなので、喪失感でいっぱいです。年齢を重ね、これまでも大切な友人を何人か失ってきましたが、中でも最上級に含まれる悲しみです。私も間もなく高齢者の仲間入り。我が身を顧みて、元気で過ごすことの大切さを、再認識させられる事件でした。

こうして振り返ってみると、困難や問題が多かった一年のように間じれらますが、大晦日の今日、どうにか平静な気持ちで新たな年をむかえられそうなのは、とてもありがたいことだと思っています。1960年生まれの私は、来年65歳。新年4日に、高校の同窓会が開かれるので、同じく今年、高齢者の仲間入りする同級生と再会すると思います。仕事の第一線を退く時期になるので、どのような話しを交わせるのか楽しみです。

そして来年、風林堂は4月末で店舗の営業を終了することに決まっています。例年差し出している年末の優待ハガキにその旨記載して告知したところ、多くのお客様から閉店を惜しむ言葉を頂戴し、とても嬉しく思っています。後継者がいないための決断ですが、健康で元気なうちに、仕事以外のことに自分の時間を自由に割ける人生に踏み出したいとの思いから決断しました。「ぷりんたぶるせんべい」のオンラインでのサービスは、もう暫く続けますので、引き続きご愛顧いただけますと幸いです。

さて、仕事人生の最終版。もう少し頑張ってみようと思います。皆様、良いお年を。


2024年12月 2日 (月)

年末優待間もなくです。

毎年、歳末にお届けしている、お得意さま宛の優待ご案内。印刷やさんに頼んだものが刷り上がってきました。今週中に宛名印刷して発送予定です。今年は、事情によりカレンダー配布のサービスはありませんが、年末年始に向けて、お得にご利用いただけますので、お受取りになった皆様は、是非ご活用ください。

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2024年10月16日 (水)

休日の旅写真

月に一度の連休を利用して、信州を旅してきました。事前には2日とも曇りか雨というあいにくの予報でしたたが、最初の目的地、戸隠に着く頃には曇り空に。宿泊した長野市内に着く頃には、晴れ上がっていました。

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【戸隠神社参道】OLIMPUS E-M10MarkII LUMIX G X VARIO35-100mm F2.8

戸隠神社五社一番下にあるお社は、急な石段の上にありました。楓が色づいたら美しい絵になりそうだなぁと想像しながら撮りました。

Photo_2
【ほおずき】OLIMPUS E-M10 MarkⅡ ZUIKO DIGITALED 50mm F2.0 Macro

昼を食べたそば屋さんの入り口付近に、名残のほおずきの朱が綺麗でした。

Photo_3
【善光寺】OLIMPUS E-M10 MarkⅡ DIGITALED 12-40mm F2.8 PRO

説明不要の大寺院。歴史を経て重厚感のある大門や本堂の落ち着いた色と、秋の青空のコントラストが美しかったです。カメラの水平が出ていないですが、アマチュアのご愛顧ということで(^^)

Photo_4
【宿坊】OLIMPUS E-M10 MarkⅡ DIGITALED 12-40mm F2.8 PRO

善光寺の近くに泊まったので、昼寝した後、日の落ちるのを見計らって撮影に行きました。善光寺の周りには宿坊が沢山あって、それぞれ風情を醸しています。願わくば、月がもう少し高い位置にあったら良かったですが・・(^^)

Photo_5
【善光寺薄暮】OLIMPUS E-M10 MarkⅡ DIGITALED 12-40mm F2.8 PRO

薄暮と言うには少し暗くなりすぎたですが、大きな提灯が灯る頃には、昼間の喧噪から別の世界になりました。


2024年10月10日 (木)

アメリカ副大統領候補の本

アメリカ共和党副大統領候補の著書です。敬愛するキュレーターのオススメで知って、1年ほど前、失効間際の楽天スーパーポイントで買った古本。読まずに棚に置きっぱなしになっていましたが、J.D.ヴァンスが日本でもクローズアップされ、昔の著書にも触れられる機会が増えたので、思い出して読み始めることにしました。自伝なので、文章は平易で読みやすいです。
 
アメリカの映画やドラマで目にするような、田舎町コミュニティーやそこに住む人々の生き様が、当事者の目で描かれるのを読むのはとても興味深く面白いです。ベストセラーとなったのも、大いに頷けます。
 
「ヒルビリー」とは田舎者の蔑称。「レッドネック」「ホワイトトラッシュ」などとも言われますね。表紙のサブタイトルにもあるように、アメリカの繁栄から取り残された人びと。トランプ前大統領の支持層と重なるひとたちだそうです。ヴァンス自身は、貧困から抜け出して成功者となりましたので、彼の辿った道のりは、所謂「アメリカンドリーム」。ただ、それは単なるラッキーではなく、本人の気付きと、導いてくれた人の存在。そして、何より自身が己に課した不断の努力があってのことです。本の中で、多くの貧しい白人たちは、成功する人間には2種類しかいないと思っている。ひとつめは運がいい人。コネのある裕福な家庭に生まれ、生まれたときから将来が約束されているひと。ふたつめは、能力のあるひと。生まれつき賢く、失敗するはずのないひと。ヒルビリーに、前者はほとんどいないので、成功者は本当に賢い人だけだと思い込んでいるという。貧しさの原因を、自身の中に求めるのではなく。変えようのない外部に求めるひとたち。そんな考えが世代を超えて受け継がれていくのが今のアメリカ社会の影だと語っています。
 
訳者が巻末の解説で書いている、トランプ支持者についての記述が非常に面白く、日本にいて目や耳にする報道(民主党寄り)の情報とはかなり違うのが興味深いです。市場主義経済で平和が長く続くと、必ず格差が生まれ拡大するというのは経済学上の定説だそうですが、もし、トランプ大統領が再び誕生したら、それを覆すことができるのでしょうか?
 
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手焼きせんべい処相模原風林堂のおせんべい日記

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