「Across The Universe」
プルーデンスへ。少しの友の助けがあれば螺旋階段を下れて、ルーシーも空を飛べる。黒い鳥も、セイウチも、もしも恋に落ちたなら、君の手を握りたいと願う・・。なぜなら、イチゴ畑は永遠で、愛こそがすべてだから。オー!ダーリン、なすがままに。
予告編で見た、冒頭で主役がアカペラで歌う「Girl」にぞくぞくっとし、劇場に行こうと決めました。
私はビートルズより少し遅れてきた、しらけたノンポリ世代なので、ヒッピー文化やポップカルチャー、ベトナム反戦などに端を発した政治的なムーヴメント等、若者がエネルギッシュで大きなうねりの中にいたこの時代に、ほのかなあこがれを持っていました。 まさにその時代を描いたこの映画には、弱いところに
直球を投げつけられた感じです。
ミュージカル作品ですから、筋は至極単純な男女の恋愛物語です。 宣伝コピーにあるような「宇宙規模のラヴストーリー・・」ではありません。 しかし、ビートルズの数々の名曲たちに圧倒され、シンプルな展開にぴたっとはまる選曲のセンスと演出にはすっ かり脱帽しました。 そして、時代のうねりの前には男女の愛のカタチも影響を受け、変わってくるとのだという事実も目の当たりにし、真摯にぶつかり合う若い男女の姿の美しさに、じんとしました。
ジャニスのような女性ヴォーカリスト、ジミヘンのようなギタリストなどキャスティングにニヤリとさせられたり、主人公の描くイラストから、ジョンのそれを 彷彿とさせられたり、嬉しいネタがたくさんちりばめられているのも楽しいですね。 ボノ、ジョー・コッカーにもしびれます。 そして圧巻は、「ストロベ リー・レコーヅ」屋上での演奏シーンです。「All you need is Love」には、涙が滲みました。 ミュージカル映画で泣けるなんて・・。
素敵な音楽は人を元気にしたり温かい気持ちにさせる、元気になったり温かい気持ちになった人は他人に優しくできる、こんな小さな連鎖で世の中が少し元気に なったり優しくなったり、明るくなったりすれば、進むべき正しい路が見えず、閉塞感に満ちた21世紀初頭の今の世界も少しは良くなるかな?などと、既に二 人になってしまった巨匠達の遺産に触れながら、少し思ったのでした。
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