行動経済学の本より
ある種のワクチンには、1万人に10人の死者が出る危険性がある。もしそのワクチンによって予防できる病気(たとえばある種のインフルエンザ)の死亡率が1万人につき10人未満であれば、だれもそのワクチンを使いたいとは思わないだろう。利益より損失のほうが大きいからだ。
今度は逆の場合を想定しょう。ある種のインフルエンザでは、平均して1万人に10人の死亡者が出る。そこでワクチンが開発されたが、それを使うと死者が出る恐れがある。しかし死亡率はインフルエンザの死亡率より低い。この場合、前記の例に照らしあわせてみれば、ふつう、ワクチンを打つほうがいいと考えられる。
ところが多くの人びとは、この二つのケースを分けて考えたがる。10人のうちの6人が、子どもに1万人に10人の割合で死ぬインフルエンザの予防のために、1歳の子どもにワクチンを与えようとは思わないのだ。ワクチンが発症させる副作用の確率が、インフルエンザの死亡率より低いにもかかわらず、である。
これは「省略の誤り」として知られる現象である。ワクチンを与えることによって生じるリスクを避けたいのだ。たとえ与えなかったための危険が、与えたときの危険より大きくても、である。
ということは、新型コロナ対応ワクチンも、一定数が接種を受けないという可能性が高いということですね。6割以上が免疫を持たないとパンデミックが収らないと言われてますので、こういったバイアスを持つ人たちをどう扱うか、当局は大変です。
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