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2023年7月 4日 (火)

映画のハシゴ「波紋」「「The Witch/魔女 ―増殖―」

先日の休みに、久しぶりに映画のハシゴをしました。今回は珍しく、邦画と韓国映画です。
一本目は荻上直子という女性監督が撮った「波紋」。

Photo_2

邦画をあまり見ない私は、この監督のことを存じ上げていなく、今回初めて。資料によると、2004年デビューで、過去にもヒット作を多くお持ちのベテランのようですね。なかなかに面白かったです。ポスターに書かれたコピーの「絶望を笑え」が上手いな~と感心。中身は、ある中流家庭に起きる事件を時系列に沿って描く悲喜劇でした。観客にいろいろ思案を巡らせさせるタイプかな。
夫の父親の介護を押しつけられる妻依子。突然失踪する夫。進学就職で家を出る息子。ひとりになった妻が、100%負のシチュエーションで、緑命会という新興宗教にのめり込みます。
普通の家族に起きる事件としてはありふれてはいないけど、マスメディアが喜ぶような奇異さでもないという、不思議なバランス上に立てた設定が秀逸です。描く視線も、登場人物に寄り添いすぎず、突き放しもしないという、これまた絶妙の距離感。好きだなぁ。
依子が信仰する宗教は、神秘な水の力を拠り所にする団体で、依子の周囲には、いつも水の気配があります。散水用のホース。スイミングプール。睡蓮鉢。そして降雨。タイトルの「波紋」にリンクするような、依子が作り上げた水の無い枯山水の庭には、箒目の水模様。物語のなかで時折描かれる、水上に立つ家族が作り出す波紋がぶつかり合うイメージ。ストーリー全体の統一感と、メッセージがちらちら見え隠れする映画的表現にも好感が持てました。
不思議な可笑しさを漂わせながら進むストーリーながら、登場人物たちが笑うシーンはほぼ皆無。終盤、100%場違いな爆笑をする依子とカタルシス。長回しカメラのエンディングが良かったですね。 決して楽しくは無いですが、見て損の無い作品として推しです。
 

The_witch

二本目は、ヒットした韓国産SFテイストのバイオレンスアクションスリラーの続編「The Witch/魔女 ―増殖―」。たまたま前作を配信で見たばかりだったので、記憶も鮮明なまま見られたのはラッキーでした。「増殖」と邦題が付けられていますが、オリジナルは「The Other One」ですので、言わば「別のヤツ」というニュアンスで、ストーリーもそのとおりでした。
前作のシチュエーションを引き継ぎながら、新たなストーリー展開と主役の登場。前作導入部のような、牧歌的でコミカルな描写は少なく、全体にサスペンス&バイオレンスを前面に出している硬派な作りで、緊張感が途切れません。100%エンタメ作品ながら超個性的で、血みどろ暴力満載、人が死ぬシーンが続々という作品を楽しめるかどうかで、好き嫌いがはっきり分れるでしょう。
深読みや裏読みといった楽しみはありませんが、不穏な世界に没入して、日頃のストレスを解放するといった見方もよろしいかと。主な舞台となる牧場に身を寄せた主役少女。その家族と少女に関わってくるのが、牧場の土地を狙う地元の経済マフィア、主役と同じ能力者を持つ集団と、やはり特殊能力を持つ暗殺者集団。これらが混ざり合って壮絶な展開となり、いったいどーなっておるのだ・・と一瞬状況を見失い掛かるのですが、エンディングでは、続編への布石を用意しながらきっちり回収してくれますので、安心してください。
エンドシークエンスから想像する続編の展開及びストーリーの完結は、おそらくシリーズ最強のバトルが展開されることになるのだろうな~と予想するのですが、さてどうなりますか。
 
 

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