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2023年6月24日 (土)

物価上昇と賃金 2

前回の続きです。物価を安定的に上昇させるためには3つの要因が必要ということが述べられていました。1)2)の働く現役世代に関わる要因は、改善の方向に向かっているように見えますので、この流れが変わること無く続いていけば、「安いニッポン」の脱却に繋がるかもしれません。問題となるのは3)の中で、特に高齢者の所得改善についてです。ここでは、主に就労していない世代について触れてみたいと思います。番組でも紹介されましたが、「消費全体の4割は高齢者世帯」という統計資料もあり、国内経済全体に占める高齢者の消費額は、思っているより大きく、影響力を無視できないからです。

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https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/pdf/h2amini017j.pdf

グラフは、経済産業省 大臣官房 調査統計グループ 経済解析室による平成27年4月現在の資料「高齢者世帯の消費活動のインパクト~延長産業連関表を用いた試算~から引用しました。この資料は平成21年の実績を元に作成されているので、高齢化が進んだ15年後の現在は、割合はもっと増え、40%を超える水準になっているようです。資料の冒頭に書かれていますが、「高齢化が進展する中で、世帯主が60歳以上の世帯(以下、「高齢者世帯」という)の消費の割合は一層増加していくことが予想される。」とされていて、高齢世帯の消費動向が、経済全体に与える影響の大きさが計り知られる資料となっています。

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同じ資料で、高齢者世帯消費によって生み出された生産額のうち、付加価値(所得)分は、約80兆円で、国内総生産約471兆円の約2割という分析結果も示されています。一般に、消費意欲が旺盛なのは現役世代と思われていて、経済の主役も若い世代と捉えられがちと思うと、この結果はやや意外にも見えますが、既に、成長期のイメージとは違った様相となっているようです。

一方、高齢者家計の実態を調査した資料も見つかりました。

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ニッセイ基礎研究所の分析資料「高齢者の消費力のポテンシャル」より引用

この資料では。「約4割の高齢者世帯が収支をプラスさせている可能性がありながら、『手元には使えるお金はあるけど“使わない”世帯が約4割もある』ということではないだろうか。“余分なものは買わない”ことに徹しながら生活を切り詰め、結果として収支のプラスを確保しているのが実態と考える。」と分析しています。また、その主な理由として「将来に向けた備え(病気や介護が必要になった時など、万一の場合の備えのため)」が最も大きな理由と考えられる。としています。

このような現状に於いて、経済全体に対する影響力が大きい高齢世帯の消費を促せるかが、これからの課題となるというのが、今回番組で指摘した点です。高齢者の所得環境、特に多くの世帯で主な収入源としている公的年金は、現役世代の賃金に連動するマクロ経済スライドという制度に沿って運用されていますので、物価には連動せず、年金の伸びは物価上昇より抑制的で実説目減りしてしまっています。これでは、消費の伸びも期待できません。「“余分なものは買わない”ことに徹しながら生活を切り詰め、結果として収支のプラスを確保している」世帯に消費して貰うためには、年金に加え、働くことで収入アップしてもらうか、金利を上げて、平均一千万円超と言われる金融資産からの収入アップを期待することだとしています。仮に、金利が2%に上がれば、一千万円の資産から税引き後で18万円の利子所得が得られる訳ですから、この一部でも消費にまわれば確かに大きなポテンシャルになるはずです。しかしながら、持続的な物価上昇は数年掛けて検証する必要があるので、現在の金融政策(大規模緩和)の早い時期での転換は難しいだろうと結んでいます。今のゼロ金利解除は、早くて来年夏25年度以降になるだろうと付け加えられていました。

非常に明快な解説で、何となく解っていたように気になっていた世の中の動きが、少し理解できたような気がしています。

私たち夫婦も、もうじき年金受給世代となります。定年はありませんので、経済的な将来不安が払拭されなければ、ずっと働き続けることもできます。また、社会参加や、健康維持といった別の視点から、仕事を続けるという考え方も取り得ます。社会経済全体をマクロで分析した報道番組から、図らずも、自分たちの立ち位置を考える機会になりました。


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