2024年を振り返って
毎年の大晦日、一年を振り返えることにしています。風林堂と私の2024年はどんなだったのでしょう。
今年は、新年早々に大地震のニュースを目にしました。極寒の中、被災された地域の映像を目にして、こころを痛めたことを思い出します。半年後に同じ地域で、豪雨災害が追い打ちをかけ、残酷な仕打ちが続くことの理不尽さに、また悲しみを新たしたものです。大災害が起きる毎に、少しでも支援できることをと考え、義援のせんべいを作って、売上金を寄付してきましたが、今回も少しだけ協力しました。支援を惜しむ気持ちはあしませんが、できるならこのようなことは、起きないでほしいと願うばかりです。
風林堂に起きた大きな出来事が2つありました、父の代から原材料を一貫仕入れしてきた、原材料生地工場が、5月の末に突然破綻廃業し、主原料の供給が止まってしまいました。当然、商品の製造ができなくなり途方に暮れるとともに、一時は廃業も考えました。生地から製品まで一貫生産しているメーカーもありますが、それらのほとんどは大手で、小規模なせんべい屋の多くは、業者から生地を購入して、焼きと味付けのみをおこない製品化していますので、同じ業者から生地購入していた同業者は、同じ立場におかれて困ったと思います。いろいろ手を尽くして、代わりに供給してくれる生地屋さんを捜し当て、どうにか継続することができましたが、一部、製造を取りやめざるを得ない製品も出てきました。ファンのお客様や、取引先にはご迷惑おかけし、申し訳ないと思っています。新たに生地を供給してくださった3社の経営者は、幸いにどちらも良い人ばかりで、こちらの事情を察してくださり、快く取引きくださいましたので、ありがたいと感謝しているところです。
続いて、7月末ころに起きたのは、ギフト箱の製造を一括依頼していた、製箱業者の突然の廃業です。こちらは、家内工業の極小規模業者で、私より少し年上の経営者が、ほぼひとりで切り盛りしていました。昨年の後半くらいから、箱を製造する機械が、老朽化によって不具合を起こし、何度か供給不能に陥っていましたが、今年の旧盆前に、完全に修理不能となったそうで、廃業を伝えてきました。こちらも、一社委託していたので、代替業者を手配するように依頼しましたが、残念ながらその後何の音沙汰も無く、困り果てました。旧盆の繁忙期に、ラインナップほぼ半分のギフト商品が欠品する事態になり、頭を抱えたことを思い出します。幸い、その少し前に営業に来ていた都内の業者に手配をお願いすることができたので、9月頃には通常に戻すことができましたが、ギフト箱の単価は大幅に上がり、商品価格の見直しを余儀なくされました。
そして、日本中が直面し、今も続いている米の価格高騰問題です。先に書いた生地業者破綻の原因にもなっていますが、昨夏の猛暑で、米の収量が下がり、原材料加工用米が不足高騰していました。今年の春先には、今年度新米収穫時期までに、供給が途絶えるかもしないとの見通しもあり、不安な状況が続いていました。代替生地業者を探しているときにも、原材料米の供給不安から、当初、新たな取引きは難しいとの回答もあり、購入価格はそれまでよりかなり高く提示されていました。米の価格は、昨年秋頃から高止まりし、食用米では、それまでの倍近くでの購入を余儀なくされていますし、加工米に於いても、5割程の高止まりをしています。国際情勢から、生産現場での燃料価格、肥料価格等の上昇が、生産コスト押し上げ圧力になっているのは確かなので、仕方の無い部分もありますが、JAが公表している買い取り価格は、昨年比で2割~3割の上昇だそうですので、小売価格が倍近くになっているということは、流通コストを価格転嫁し過ぎているのではないかと勘ぐっていまいます。農家の皆さんが適正な利潤を得ることは大賛成ですが、流通業者が時勢に乗って過剰利益を得るというのは、所謂ピンハネなのではないかと思ってしまいます。この辺は、公表されている資料から読み解くことは難しいので、いずれはっきりすることを期待したいです。一方にこんな事例も。風林堂のせんべいを納めているアンテナショップに、地元の農家が米を納入しています。今年度の新米が収穫されたころ、5kg3000円(税込み)で販売していたのが、1ヵ月後に3500円に値上がりしていました。一年に一度収穫する米の直売価格が、時間経過と共に上がるというのは、どう考えても、納入者が市場動向を見ながら価格決めをしているように見え、過剰利潤を乗せているように感じられます。米の問題には、長く国の農政が影響を及ぼしてきましたので、現場の皆さんのお気持ちも理解はできますが、消費者の更なる米離れにつ繋がっては元も子もありません。現状打開を強くん望みたいと思います。
年末12月の20日過ぎに、悲しい知らせが届きました。SNS Facebookを通じて知り合い、10年以上懇意にしてもらった大切な友人が、58歳という若さで急逝されました。Fb上の友だちも多く、皆一様に深い悲しみを表明されています。これからも、長くのご厚誼を望んでいたところなので、喪失感でいっぱいです。年齢を重ね、これまでも大切な友人を何人か失ってきましたが、中でも最上級に含まれる悲しみです。私も間もなく高齢者の仲間入り。我が身を顧みて、元気で過ごすことの大切さを、再認識させられる事件でした。
こうして振り返ってみると、困難や問題が多かった一年のように間じれらますが、大晦日の今日、どうにか平静な気持ちで新たな年をむかえられそうなのは、とてもありがたいことだと思っています。1960年生まれの私は、来年65歳。新年4日に、高校の同窓会が開かれるので、同じく今年、高齢者の仲間入りする同級生と再会すると思います。仕事の第一線を退く時期になるので、どのような話しを交わせるのか楽しみです。
そして来年、風林堂は4月末で店舗の営業を終了することに決まっています。例年差し出している年末の優待ハガキにその旨記載して告知したところ、多くのお客様から閉店を惜しむ言葉を頂戴し、とても嬉しく思っています。後継者がいないための決断ですが、健康で元気なうちに、仕事以外のことに自分の時間を自由に割ける人生に踏み出したいとの思いから決断しました。「ぷりんたぶるせんべい」のオンラインでのサービスは、もう暫く続けますので、引き続きご愛顧いただけますと幸いです。
さて、仕事人生の最終版。もう少し頑張ってみようと思います。皆様、良いお年を。
●手焼きせんべい風林堂のホームページ せんべい印刷「ぷりんたぶるせんべい」
●店長酒井浩の私的興味事を中心に書いているブログ相模原徒然
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