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2025年1月13日 (月)

米価格高止まりの理由

 昨年末の私的な回想で、24年産新米が出回った後にも、米価格が高止まりしている状況について書きました。新年になってから、一部スーパーやドラッグストアで、セール品として若干価格を抑えた設定の銘柄も見かけるようになりましたが、まだ23年夏以前と比べると、2倍からそれ以上の価格で販売されているようです。加工用米も、主食用ほどではないですが、高止まりしています。朝、せんべいを焼きながら毎日聴いている民放ラジオ局のニュース番組の特集で、これをテーマに語られていましたので、まとめてみました。

1)2023年の猛暑や少雨が影響し、米の生産量が減少した。このため、2024年の新米が出回り始めても、供給が需要に追いつかない状況が続いている。特に、新潟や秋田などの米どころでは収穫量が減少し、これが価格上昇の一因。

2)生産コストの上昇も大きな要因。肥料や燃料費が高騰し、これが新米の価格に転嫁されています。農林水産省によると、2024年の新米価格は前年に比べて1.5倍に達しているとされている。

3)流通業者間の競争も影響している。米不足の影響で、業者が農家から直接仕入れるケースが増え、市場での流通量が減少している。流通業者間の取り合いとなり、JAの統制が効かなくなっている。このため、店頭価格が高止まりしている状況が続いている。

4)コロナ禍からの需要回復も影響している。インバウンド需要が増え、加えて消費者の外食機会が増えていることで、外食業者の買入れ量がが急増している一方で、生産が追いついていないため、価格が高止まりしている。

5)南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を受けた買い込み。

6)流通業者が、多くの利益を得るため、流通量を控えめにし、高値で販売しようとする意図もあると見られる。

番組論者は、主食価格の高止まりは、消費に悪影響を及ぼすとして、政府備蓄米の放出等、価格抑制に乗り出すべきとの見解を示しましたが、現時点で、その動きはないとの見通しのようです。

生成AIに尋ねたところ、5)6)以外の回答は番組解説者と、ほぼ同じような回答が得られました。そのときのマインドマップです。Photo

一方で、今回の所謂「令和の米騒動」の根本的な原因は「減反(生産調整)」だ。とする解説もあります。

減反とは農家に補助金を与えてコメの供給を減らして米価を上げるものだ。2023年産米は作況指数101で平年作を上回っていた。品質低下なら価格は下がるはずだ。また毎月300万人の旅行者が日本に7日間滞在して日本人並みに食べたとしても、消費量は0.5%増に過ぎない。数年前から農業団体は農家にもっと生産を減らすように指導してきた。農林水産省としては目的通り米価を上昇させて満足していることだろう。今は水田の4割を減反して生産量を700万トン以下に抑えている。しかも余裕のない需給操作なので、今回のようにささいなことで価格は変動するというのが実態だろう。キャノングローバル研究所 研究主幹 山下一仁氏

日経新聞の記事によると、24年7月〜25年6月の需要見通しの674万だそうなので、確かに700万トンの生産では、需給がぎりぎりの均衡です。何か予期せぬ事態が起きれば、パニックによる不足感が出ることは、容易に想像されます。備蓄米とは、その時のためにあるはずなのに。


Photo_2

国内の米需要推移(日本経済新聞資料より)

およそこんな論点のようです。アダム・スミスの経済思想「見えざる手」によって唱えられた自由な市場の重要性ですが、今回は失敗例に該当するかも知れません。あるいは、政府や農協の影響力で、リーズナブルだったかつての米価格は幻想で、今の価格が適正なのでしょうか? 25年度産新米収量が順調な見通しになれば、どこかで眠っている在庫米が流通し、価格が下がるかも知れません。あるいは、現時点の状況を鑑み、政府の農政が修正されるかも知れません。米製品の製造業者として、一消費者として、注視していきたいと思います。


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