災い転じて
本格的にWebでの集客を始めて5年以上が経過しました。この間、お客様のご希望で作るオーダーメード「ぷりんたぶるせんべい」を中心に、毎日色々なご要望や、ご注文を頂いています。
その中には、企業からのまとまったオーダーも多く、オフィシャルなトレードマークやロゴを使い、式典やキャンペーン用途など、大切なイベントへのノベルティとしてご利用いただくケースもあり、作り手としては緊張もすることがあります。
一昨日納品した大きなオーダーも、そんな用途で、およそ1ヵ月半あまりの打ち合わせを重ね、注意深く対応して参りましたが、最後の最後、配達指定日を間違えるという大きなミスをしてしまいました。ご注文主は、外資系のファンド運用会社。届け先は都市銀行の、大都市圏を中心にした支店宛という、かなり堅いと予想される取引きです。間違いに気づいたときに、真っ青になったのは申すまでもございません。
商品の性格上、商談中のやり取りはほぼEメールで行うことにしていますが、理由は、細部の打ち合わせ内容を、後で確認できるようにしたいからです。ある程度大きな企業であれば、それを更に進めて、ナレッジマネジメントなどと呼ばれる、ビジネスの進捗状況を複数社員間で共有し、仕事の効率化に生かしているところも多いのではないかと思います。
風林堂のような零細企業では、そのようなシステマチックな対応が出来ないので、担当が一元管理し、何重にもチェックをすることで、ミスを無くすようにしていますが、やはり人間のすることに100%は無く、ケアレスミスによる事故が希に起きてしまいます。今回はそれが如実に表れた事例で、ほとんどのやり取りを記録に残しながら、肝心の納期変更についての打ち合わせを電話で行い、すぐに記録に残したり、確認を怠ったため、どこかで間違いが生じ、一日ずれてしまうと言う結果になりました。
出荷報告をした時点で間違いに気づき、どうしても一日前倒しの配達に変更して欲しいというご希望に応じて対応することにしましたが、結果としては、全50件の宛先のうち、33件を当日配送に変更し、残りは出荷時の指定どおり、翌日の午前に配達という結果となりました。一日早く出荷したのも功を奏した形ではあります。
風林堂ではほぼすべての荷物を、国内最大手ヤマト運輸の宅急便に依頼していますが、その理由は、配送への信頼感が抜群だということです。ほぼ時間どおりに間違いなく配送され、扱いも丁寧。割れやすいおせんべいなのに壊れたというクレームは滅多にありません。そして最近では、ITのフル活用で、荷物の所在確認や配達時間の変更などにもきめ細かく対応してくれて、エンドユーザーの視点に立ったサービスの提供は、さすが日本企業のトップだなと感心するばかりです。
今回も、その恩恵に浴する形でどうにか事なきを得たのですが、配達時間変更依頼を16時に出して、その7割近くが対応されました。配送先が銀行なので、18時以降は受け取り出来ないとか、電話が録音対応になり連絡が取れないとか、こちらの希望に添えない場合にはドライバーや担当営業所からきっちり連絡が入り、その対応にはこちらが恐縮するほどです。
実は私がこんな対応をして、半パニックに陥っていたのは弊社の定休日の午後で、そのせいで予定していた私用をすべてキャンセルせざるを得なかったのですが、こうしたやりとりを経て、ご依頼主にもある程度の満足をいただき、風林堂の信用を落さず済みました。トラブルを未然に防げればそれがベストですが、起きてしまったミスをリカバリーすることでそれまで以上の信用を得ることができるというのは、ビジネスの場面でよく言われることです。後の経緯からは、「災い転じて・・・」という感触も得られましたので、今は胸をなで下ろしながら、今後の教訓として重く受け止めているところです。そして、宅急便のシステムと現場の皆さんには、感謝!の一言です。