おせんべい作り Feed

2007年8月19日 (日)

おせんべいのモト2

 風林堂は。本日より23日まで夏休みになりました。 夏休みといっても、完全休養の日はあまりなく、前半は、普段できない工場内の機械のメンテナンスや、事務処理などで費やし、最終日には、仕事再開の「しこみ」作業がありますので、お休みは正味3日と言ったところでしょうか。
今年は旧盆のころ、35℃以上の猛烈な暑さの日が続いたので、火を使わないで済むだけ、ありがたいですが・・。


 

7/20日の投稿に続き、おせんべいの生地について書いてみようと思います。
おせんべい生地は、100%米が原材料なので、その性質は米に含まれるでんぷんの特性をうまく利用したものです。 でんぷんにはアミロースとアミロペクチンという2種類があります。 おせんべいになるうるち米にはアミロースが20% アミロペクチンが80%の割合で含まれます。 一方、お餅として生で食べたり、おかき・あられの生地になる糯米(もちごめ)はほとんどがアミロペクチンです。Amylose

 生のでんぷんは、そのままでは食べられません(消化されません)が、加水・加熱することでその性質がかわり、膨張し粘りがでて、味・香りともによくなり、食べられるようになります。これを糊化(こか)またはα化(アルファか)といいます。 生の米をお釜で炊くことでご飯として食べられるようになるのもこの原理です。

 一旦α化したでんぷんも、そのまま放置すると、もとのでんぷんの構造に戻ってしまい、固くなったり味が落ちたりします。 これをでんぷんの老化といいます。室温で放置したご飯、お団子や餅が固くなったり味落ちてくるのはこのためですね。
最近は、食品の保存に色々な技術が導入され、この老化を抑えることで、寿命を長くすることが可能となってきていますが、食物の廃棄を少なくし、大切に扱うという意味では、ありがたいことですね。Photo

←生地の型抜き作業 

おせんべいの生地は、米を製粉し、加水・加熱しながら練ることで、お団子状態になります。ここで、米のでんぷんのα化が起きるわけです。 この状態で薄く伸ばし、型抜きを行いほぼ形となります。 この後、温風乾燥することで固いガラス状の生地になります。 こうして、でんぷんの老化が起きる前に、冷却、乾燥を繰り返し、最終的には水分を15%以下程度まで落とします。これで、α化した状態を保つことができ、ある程度長期間の保存が可能となるわけです。

米を製粉、蒸練するかわりに、炊いたご飯をつぶして伸ばしても、生地を作ることはできます。
あと、2週間あまり残った夏休みの自由研究で、おせんべい作りに挑戦してみてはいかがでしょうか?

2007年8月 1日 (水)

爽やか!抹茶せんべい

今日は、抹茶入り砂糖をまぶした、小粒おせんべいを作りましたので、その様子を掲載したいと思います。商品については、風林堂の袋入りおせんべいの紹介ページをご覧ください。


1)まず、おせんべいを用意します。(超当たり前ですが(笑))。 風林堂の砂糖掛けおせんべいは、下地にしょっぱい味付けをします。抹茶用は白醤油での味付けです

0_2
2)銅製の、大きな「さわり」と呼ばれる容器に、お砂糖と少量の水を加えます。 この「さわり」ですが、和生菓子屋さんで、あんこを作るのに使われているものと同じです。 

 


1
3)加熱し、砂糖水が沸騰し110℃くらいになるまで煮詰めます。夏場には結構辛い仕事です。
初めはさらさらの砂糖水が、だんだん粘度を帯びて、ガムシロップ状になってきたらOKです。



2_2


 

4)静岡県、島田の茶商から取り寄せたる抹茶を投入。このとき立ち上る風雅な香りは、お茶のエッセンスそのものです。長生きできそう(笑)





3_2

5)抹茶に火が通りすぎないよう素早くおせんべいを投入。火を止めて、間髪入れずに大きいへらでガシガシかき回します。少しずつ熱が抜けてくると、お砂糖が固まり始め、水飴状態になりますが、意に介さずさらに攪拌。すると、あーら不思議、一瞬の後ぱらぱらの、ばらばらになります。


4_2


 

6)見事完成。5)の状態と比べると一目瞭然ですね。 この後完全に水分を抜くために、温風 乾燥し完成です。




いかがでしょうか? ちょっとしたこつをつかめば、ご家庭でも簡単にできますので、お試しください。 容器は、銅でなくても大きめの鍋、ボウルでも問題ありませんが、ステンレスは砂糖が焦げやすいのでお勧めできません。

純銅製の調理器具は、油断をするとすぐ緑青がつき、青黒くなってしまいますが、使う前に塩と酢を混ぜた溶液で磨くと、ぴかぴかになります。 よく、10円玉を梅干しでなでると、輝くというんちくがありますが、原理は同じです。 

おせんべいの代わりに、揚げた薩摩芋でつくると、おいしい芋菓子になりますね。


2007年7月21日 (土)

おせんべいのモト

先ほど、サッカーのアジアカップで、日本代表がPK戦の末、オーストラリアに勝利!
いつもながらPK戦は、心臓に悪いですね。
私が贔屓にしている清水エスパルスの選手は、ここ暫く代表に選ばれておらず、(韓国代表にはいますが)ちょっと残念ですが、国際試合での真剣勝負は、応援のしがいがあります。


 さて、皆さんはおせんべいを焼く前の、モトである生地をご覧になったことありますか? 本場埼玉草加や、東京浅草の仲店など、手焼きせんべいの実演を見せながら販売しているお店を覗いたことがあれば、目にされているかもしれませんね。 おせんべいのできあがりの形や厚さなどは、生地の段階でほぼ決まりますので、そのお店のバリエーションの数だけ、生地の種類もあるということになります。 今でも、生地作りから、焼き、味付けまで一貫で行っているお店や工場も散見されますが、ほとんどのおせんべいやは生地作りを専門業者に委託しています。
 当店も、一部を除き、ほとんどを埼玉県川越市の専門業者に委託発注しています。 これは受け持ちを分業化することで、それぞれの得意分野に、研究と技術を集中し、よりよいものを作っていこうというのが、合理的と考えるからです。Kiji
 一貫生産のよさも、もちろんあると思いますので、どちらがよりよいかは、一概には申し上げられません。 できあがったおせんべいを召し上がってくださるお客さまのご支持がすべてということでしょうか。

←いろいろな形のおせんべい生地。
   中央の丸形が直径約8cm 

おせんべいの生地は、簡単に言えば、薄く伸ばして乾かしたお団子です。お団子は放っておくと堅くなり、あるいはカビたり、腐敗したりと、その寿命は1日限りですが、乾燥させ、水分をある程度抜いてしまうと、長期保存に耐えられるようになります。ですから、生地作りと、焼きが分業できるわけです。

 そのあたりの科学的(?)な、説明は、回をあらためて、書きたいと思います。

フォトアルバム
Powered by Six Apart

風林堂サイト

Facebook

Analytics

  • Analytics

手焼きせんべい処相模原風林堂のおせんべい日記

サイト内検索